労働者階級の反乱~地べたから見た英国EU離脱~

最近情報ソースとしてTwitterを利用することが多くなってきているが、この本を買おうと思ったのもTwitterでブレイディみかこを知ったからだ。ブレイディみかこ自体は覚えていなかったが、トランプ現象の解説の中でこの本への言及がどこかにあったことが微かに頭の片隅に残っていたこともあって購入。

トランプが当選したのと同じ文脈でBrexitを考えてはいけないというのがこの本の主題。トランプ現象と根底にある考え、思想が異なることをイギリス特有の階級意識に焦点を当てて展開している。

ニュース経由で触れたBrexitの印象とは明らかに異なる雰囲気が伝わってくる。個人的には筆者が身近な人たちしているインタビューは生々しくて興味深かった。インタビューの答えをあまりマイルドに翻訳していないので、労働者階級、つまりBrexitに賛成した人たちの気分、感情だったりが伝わりやすいのかもしれない。

安直に似た現象を同一視する危険性を喚起する意味では良い本だ。良く調べたなと思わせる内容になっている。歴史的背景の重要性も伝わってくるし、物事をどう捉えて、調べて、考えるべきかを思い知らされる。

どんなニュースにも焦点があり、メディアという媒体を通して見ている、そして見えていないものがある、もしかしたら見逃していただけなのかもしれないということを考えさせられる。

ただ、この本を読んでもBrexitの先行きは不透明のままだ。そもそも主題ではないのは分かっている、この本を読もうと思った動機でもない。でも読後の気分としては、「どうするんだろう、これ」。読む前に持っていたBrexitの膠着感に対する印象を強くさせる。

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