コンビニ人間

Twitterでフォローしている人や読んだ本などで日本人の習性の一面を語る文脈でよく出てくる本。前職を辞めて時間があったので、手に取ってみた。

読後感は、伊藤くんA to Eに良く似ている。一気に読み終えてしまうほど引き込まれるが、読んだ後の気分は決して良いものではない。暗い気分になる。白羽が出てくるので印象が似てくるのかもしれないが、救いを一切感じさせない不条理に対する気分の悪さがしっかりと残る。仕事を辞めた後に読む本ではなかった。

読後なぜか、際立ったと感じる個性に出会った時、その印象の原因を文化的背景の違いに求める前に、しっかりと検証しなければならない、と外国人の印象について思うことがあった。そんなことを思うのは、この本が日本人と習性を表すものとして紹介されるのに忌避感を感じているからかもしれない。

個人的には主人公の行動に対してはそれほど嫌悪感もないし不思議な感じもしない。少しマイルドにすれば、感情の起伏がなく、システムや因習に埋没して安心して疑問に思わない人になる。そういう人は日本人に限らずいるはず。

それよりも白羽の方がダメなフリーターの典型を見るようで印象的だった。今の日本では、白羽のような思考とそれに伴う行動の異様さ、ダメさ加減の方が主人公よりも日常的に目にする可能性が高いと思う。それに日本人らしさはどちらかといえば、家族の反応の方が日本人らしい習性だろう。

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